セラピストの部屋

北海道の整形外科クリニックで理学療法士しています

足関節捻挫 損傷度

今回は、足関節捻挫の損傷度について記載する。

 

書くきっかけとしては、今年度から開始したラグビーのトレーナー活動にて足関節捻挫が多数おりその中で重症度の分類をし、病院への受診をすべきかや治療方針を決めることが重要であると気付いたためここにまとめて記載する。

 

はじめに、足関節捻挫において頻発するのは内反捻挫である。

理由としては、解剖学的な構造として足部外果が内果よりも長い。骨構造により外反方向への制動が大きく、内反方向は制動が少ない。

また、内側靭帯は外側靭帯よりも強靭であるため外反方向への制動が大きく、内反方向は制動が少ない。

このように骨構造、靭帯の脆弱性により内反捻挫が生じやすい。

 

内反捻挫により損傷する靭帯は外側靭帯である。

外側靭帯は

前距腓靭帯(ATFL)

後距腓靭帯(PTFL)

踵腓靭帯(CFL)がある。

 

この中でも、PTFL・CFLは6mm程度、ATFLは2mm程度でありATFLは最も脆弱であり損傷しやすいことがわかる。

 

GradeⅠ   微細損傷

GradeⅡ   部分断裂

GradeⅢ   完全損傷

という風にざっくりわけられています。しかし、分かりづらいし臨床において使いにくい。

 

別の分類では、

軽症    ATFLの圧痛

中等症   ATFL,CFLの圧痛

重症    ATFL,CFL,PTFLの圧痛

栗山節郎.足関節捻挫の病態と整形外科的治療.理学療法,25(1):295-299,2008.

 このような分類が、最も臨床にて扱いやすいと考える。GradeⅢや重症であると手術療法などが選択される場合があるということを念頭にいれて評価していく。

 

最後にスペシャルテスト。

ATFLは、前方引き出しテスト

PTFLは、後方引き出しテスト

CFLは、内反ストレステストを用いる。

 

足関節捻挫の重症度分類には正確な触診技術が必要である。